深夜の出来事

深夜だった。

「はがいたぃ」
か細い声で私を起こした。

旅行中だった。

「我慢できる?」
「がまんする・・・」

しばらくすると、

「やっぱりいたい」
「朝になったらすぐに歯医者さんに行こうね。それまで遊ぼうか?」
「うん」

それから、掛け布団をトンネルにして探検ごっこをした。

「ドンドン、ズクズク、ドーン! 何か見えますか?」
「いいえ、なにもみえません」
「了解!それではもう少し進みましょう」

お布団をしっかりふさぐと真っ暗。
少し隙間を開けると息子の顔がうっすらみえる。

「ここから危険です。もっと先に行きましょう」
「わかりました。きをつけていきましょう」

「なにもみえません」
「慎重に進みましょう」

 

こんな会話をしていくうちに、息子の声がしなくなった。

布団をそーっと払い除けると、
「スースー」気持ち良い寝息で寝ていた。