梅雨が明け、夏がきた。
夕方になると、息子と二人で散歩した。
息子はお気に入りの補助輪付きの自転車に乗って。
公園をぐるりと一周。
その後に近くの商店街でお買い物。
それが毎日のコースだった。
商店街の本屋さんは、私の心地よい休憩所。
夢中になって本を探していると、
隣にいる息子が時間を持て余し、服を引っ張る。
私の本。
息子の本。
2冊をレジに持っていき、目を合わせて笑顔になる。
その後は、夕飯のお買い物。
今日は何食べる?
なんて話をしながら、
八百屋さん、お肉屋さんを回り、
夕飯が決定。
時間にすれば一時間足らず。
それが私の元気の源の一つだったのかもしれない。
2冊の本は息子の自転車のカゴに。
食材は私が。
夕日を受けて、
息子は髪をなびかせる。
自転車の補助輪の音を出しながら。
影の長くなった息子の自転車は、
先にいっては、
私を振り返り、
私の事を待っている。
私が息子の方に小走りしようとすると、
息子の自転車が向きを変えて、
私の方に。
大人っぽい口調で、
「無理しないで」
「転んで怪我するよ」
「僕は待っているから」